こんにちは いもです。
これまでの記事で大手ストックフォト6社のクリエイター登録方法、写真審査を比較してきました。
今回はこれまでのストックフォト副業経験を元に、「40代50代の副業に向いているストックフォトサイト」を総合的に考えていきます。
以前の記事にも書きましたが、ストックフォト副業で大きく稼ぐことはほぼほぼ不可能です。
もし稼げたとしてもそれまでにかなりの手間と時間がかかります。
しかし一方で、将来お金を生んでくれる収入源の一つを育てるという目的であれば価値ある副業です。
ストックした写真が継続的にお金を生んでくれるストック型のビジネスだからです。
結論を言うと将来の収入源をつくる目的の副業としてはじめるのであれば、おさえておきたいのはPIXTAとAdobe Stockです。
自分がどのような写真を提供できるかによって力の配分は変わりますが、基本はこの2社から始めるのが良いでしょう。
これはストックフォトを1年半ほど継続してきた立場で出した結論です。
ストックフォトを始めて1年ほどまでは違った見え方をしていました。
この記事ではPIXTAとAdobe Stockの副業に有利な点・不利な点をあげながら、この結論に至った理由を紹介します。
「有名どころのPIXTAとAdobe Stockおすすめ なんて当たり前じゃん」と思う人もいるかもしれません。
この記事では複数のストックフォトサイトで副業をしてきた経験を元に、この2社をおすすめする理由をクリエイター目線で書いています。この理由を知っていると知らないとでは大きな違いができてしまいます。是非ご覧ください
副業目線でみたPIXTA(ピクスタ)
PIXTA(ピクスタ)の特徴
日本に本社のあるPIXTA株式会社が運営するストックフォトサイトで、寄稿者35万人、購入者登録数49万人、素材点数5,800万点を誇ります。
写真・イラスト・動画・音楽などのデジタル素材を投稿・販売できます。
日本企業が運営しているだけあり、日本をテーマにしたり日本人を被写体にした写真が多く取り揃えられています。
人物専属クリエイター(PIXTA1社だけで販売するクリエイター)になると、PIXTAがモデルを手配してくれる特典(キャスティングシステム)があります。
そのため人物写真はモデルを使った綺麗な写真が多く売られています。
なお、日本語に加え英語・中国語(簡体字・繁体字)・タイ語・韓国語版のサイトもあり、アジア各国の生活・文化の素材にも力を入れています。
PIXTA(ピクスタ)の副業に有利な点(メリット)
写真審査手続きが日本語だけでできる上に手間が少ない
PIXTAの良さの一つは写真審査の提出が最も簡単なところです。
写真審査が日本語だけでできるストックフォトサイトは他にもありますが、入力作業の簡単さで言うとPIXTAは一つ頭が抜けています。
「タイトル」と「タグ」だけの入力で審査申請ができるからです。
他社のストックフォトサイトでは、タイトルとタグの他にカテゴリ―、説明、撮影日、撮影場所、被写体の人数など、PIXTAにはない項目への入力が必要となります。
時間があまりとれない副業でストックフォトをやる場合、手間が少なくて済むことは大きなメリットになります。
クリエイターへの情報提供や教育(セミナーなど)が充実
PIXTAはクリエイターへの情報提供や教育コンテンツが充実しています。
コンテンツも全て日本語で作られていますので、ストックフォト初心者が基礎から学ぶには適しています。
サイト上のクリエイター向けコンテンツ「販売お役立ち情報(PIXTAガイド)」には、売れてる素材のランキングやイベント/キャンペーン情報、人気上昇しているテーマなどのコンテンツが随時アップされていきます。
副業でストックフォトをする人にとって、日本語で手軽に情報を得られる環境が整えられている点は他社にない魅力です。
写真が「単品購入」された場合の報酬(収入)が大きい
PIXTAで写真を購入する人は「定額制プラン」もしくは「単品購入」が選べます。
この「単品購入」は他社ストックフォトではあまり見ない販売方法で、写真を売るクリエイターにとってはありがたいものです。
というのも「単品購入」で写真が買われた場合も、クリエイターランクに応じた割合で報酬(ロイヤリティ)が受け取れます。
ちなみに写真を売り始めたばかりの人(ランク1:過去1年間の販売実績が0-149回)の報酬率は22%で、上の表にある赤字で書かれた報酬額となります。
「単品購入」で1枚売れればかなり良い報酬額となりますが、このような高い金額でも買ってもらえる写真は必要性の高い高付加価値な写真です。
残念ながら私の場合「単品購入」で売れた枚数はさほど多くありませんが、このようなチャンスがあることでモチベーションにもつながります。
私の場合PIXTAで売れる写真は報酬額の少ない「定額制プラン」ばかりです。定額制プランの報酬については次項「PIXA(ピクスタ)の悪い点デメリット」で説明します
他社より小さめの画像サイズ/解像度の写真でも審査提出できる
以前の記事に詳しく書きましたがPIXTAは審査に提出できる画像サイズの要件が他社と比較してゆるくなっています。
これによりスマートフォンで撮影した写真も審査提出できる可能性が高まるため、副業でストックフォトを始める人にとって有利な条件と言えます。
PIXTA(ピクスタ)の副業に不利な点(デメリット)
激しい競争の中で売上を上げるための戦略が必要となる
上で説明したとおりPIXTAは日本語で手軽にできるため参入障壁が低いメリットがあります。
しかしこれは裏を返せば競争が激しいことを意味します。
写真を購入する客層も日本人が多いため、日本人のお客という限られたパイを日本人クリエイターが奪い合う構図です。
そのためプロのカメラマンとの競争の中でも売上を上げられるための戦略が必要となります。
特に人物写真で勝負するのであればハードルは更に上がります。
PIXTAではある程度実績を積み条件を満たしたクリエイターに対して、「専属クリエイター」制度を用意しています。
専属クリエイターの特典の一つに「モデル手配サポート(キャスティングシステム)」があり、必要に応じてPIXTAがモデルを手配してくれます。
つまり専属クリエイターはプロのモデルを使った作品づくりができるのです。
ストックフォトを始めたばかりの人は、誰もがはじめは「一般クリエイター」からのスタートです。
副業としてストックフォトを始める人が専属クリエイターと同じ土俵(テーマ)で戦うことは、埋めようのない不利な点です。
「定額制プラン」で売れた場合の報酬(収入)が小さい
定額制プランとパックの名称 | 報酬(ロイヤリティ) | |
PIXTA | 定額制プラン | 定額 約27.5円/1枚 |
Adobe Stock (報酬率33%) | サブスクリプション クレジットパック | 変動 約37~370円/1枚 |
iStock (報酬率15%) | 定額制プラン クレジットパック | 変動 約3~202円/1枚 |
Shutterstock (報酬率15%) | 定額プラン オンデマンドパック | 変動 約11~165円/1枚 |
PIXTAには「定額制プラン」と「単品購入」があると先ほど書きましたが、「定額制プラン」は全ての大手ストックフォトで採用されている売り方です。
その他にも「パック」という売り方がありますがその報酬(ロイヤリティ)も「定額制プラン」同様、1枚当たりの写真単価に報酬率を掛け合わせるのが一般的です。
上の表は写真販売を始めたばかりの人が「定額制・パック販売」でどれくらいの報酬(ロイヤリティ)を見込めるかを比較したものです(料金がUS$のものは$1=112円で換算)。
PIXTAの「定額制プラン」で得られる報酬は、1枚あたり定額で約27.5円と決められており、他社の大手ストックフォトと比較して最も低い水準になっています。
これはPIXTAの不利な点です。
自分の写真を「単品購入」だけで販売するか「定額制プラン」でも販売するかは審査申請時にクリエイター側で決めることができます
「定額制プラン」で販売していれば1枚当たりの報酬は少ないですが、販売枚数は増えることになります
私の場合「単品購入」で売れるレベルの写真を提供できていないため、全ての写真を「定額制プラン」でも販売しています。販売枚数が増えればクリエイターランクが上がり報酬額を計算する率が上がるため、まずはそちらを目指しています
過去1年の販売枚数 | 定額制(一般)コミッション率 |
0~149回 | 0.25クレジット |
150回以上 | 0.27クレジット |
500回以上 | 0.30クレジット |
1,500回以上 | 0.35クレジット |
3,000回以上 | 0.40クレジット |
5,000回以上 | 0.45クレジット |
制約があり副業のスタートダッシュが切りづらい
①一定期間にアップロードできる上限枚数(枠)が決められている
PIXTAは1ヶ月間(25日間)にアップロードできる写真の枚数が決められており、たとえその枚数以上の写真を審査に出したくてもアップロードできません。
アップロード可能枚数は40枚ほどからスタートし、アップロードした写真の品質とその後のダウンロード数(売れた枚数)によって増減します。
実績に応じて増える場合もあれば減る場合もあるということです。
「販売枚数をどんどん増やしたい」と考えたとしても、この枚数制限が足かせとなりスピードが上がりません。
つまり「やる気を持ってPIXTAで写真を売り始めても思うように進まない」ということが起きやすく、モチベーションが続かない一因となります。
そういう意味で副業に不利な点(デメリット)に入れました。
しかしこの点についての私の見方はここ数カ月で大きく変わりました。
上の写真では2022/2/09までのアップロード可能枚数が110枚となっていますが、その後2022/3/09までで300枚、2022/4/09までで500枚と大きくアップしました。
アップロード可能枚数上限までコツコツと写真を上げ続けてきたことと、数カ月前に登録枚数が1,000枚を超えたあたりから急激に売上が増えたため、アップロード可能枚数が増えたと思われます。
PIXTAはアップロード可能枚数に制限があり副業のスタートダッシュが切りづらいのは確かです。
しかしその先まで進むことができれば違う世界が見えてきます。
最初の段階でこのことを知っていれば、途中であきらめずに続けられる人も多いのではないかと思います。
②審査スピードが遅い
PIXTAは他社と比較すると審査スピードがとても遅いという特徴があります。
審査結果が戻ってくるまでの時間が長く、ストックフォトを始めたばかりのころはイライラしたものです。
このスピードの遅さで副業のスタートダッシュが阻害されますので、PIXTAの副業に不利な点(デメリット)に挙げました。
しかしこれは先に説明した「①一定期間にアップロードできる上限枚数(枠)が決められている」ことが関係しています。
一連の審査手続きはこの一定期間を基準として進められています。
その証拠に全ての審査はこの期間が終了するまでには完了します。
この仕組みが理解できるとPIXTAの審査スピードの遅さは気にならなくなりますが、このことに気づくまでには時間が必要でした。
アップロード可能枚数が1ヶ月500枚にもなると審査に出すだけで一苦労で、審査スピードの遅さなんて気にもならなくなります
PIXTAは売れない
ストックフォトを始めてしばらくの間はPIXTAではほとんど売れませんでした。
自分の写真のレベルの低さも大きな要因ですが、他社が少しずつ売れはじめている中でもPIXTAだけは売れませんでした。
上のグラフは私のPIXTA販売実績枚数推移ですが、最初ころは全く売れていません。
ところが1年ほど経ったころから急に売れ始めています。
ほとんどが「定額制プラン」なので売上金額は大した額にはなりませんが、それでも売れた枚数の増加にともない売り上げも上がってきています。
ネットでは「PIXTAは売れない」「PIXTAは儲からない」ということを言う人がいますが、私もまさにそうでした。
しかしコツコツと続けて1年を過ぎたころ(登録枚数が1,000枚に届いたころ)に印象は一変しました。
副業をはじめた最初のころに実績が出にくいということは、副業を続けるモチベーションがそがれ副業に不利な点(デメリット)といえます。
しかしその先に売れる日が来るということが分かっていれば、モチベーションを維持する心の支えになります。
PIXTAの「副業に不利」と感じていた点は、1年以上継続してきた今思うとデメリットではなかったことが分かります。ストックフォトを始めて1年後にどのような状況になれるのかを知っておくことは大切です。「将来お金を生んでくれる収入源の一つを育てる」という目的で副業をはじめるのであれば、PIXTAのペースでコツコツとストックフォトを続けるのがちょうど良いのかもしれません
副業目線でみたAdobe Stock (アドビストック)
Adobe Stock (アドビストック)の特徴
アメリカカリフォルニアに本社があるAdobe社の運営する素材点数1億5,000万点を誇るストックフォトサービスです。写真・イラスト・動画・ベクター、3D・テンプレート・音楽などのデジタル素材を投稿・販売できます。
Adobe社の製品にはPhotoshopやillustratorなどのクリエイター・デザイナー向けソフトがあり、Adobe Stockとの操作連携が図られています。そのため世界中にいるAdobeソフト利用者によるAdobe Stockからの写真ダウンロードが期待できます。
Adobe Stock (アドビストック) の副業に有利な点
報酬率が一律で、はじめたばかりの人にも高い率が適用される
Adobe Stockの報酬は 「お客様が購入したプランにおける1枚当たりの写真(アセット)単価×報酬率」で計算されます。
その報酬率は定率で、クリエイターの販売経験やダウンロード実績にかかわらず一律33%です。
報酬率が一律ということは、ストックフォトを始めたばかりのクリエイターも平等に稼げるチャンスがあることを意味します。
なお定率型の報酬は多くのストックフォトで採用されています。大手のストックフォトで言えばiStockやShutter Stockも定率型ですが、これらの報酬率は15%です。
Adobe Stockの33%の報酬率は他社と比べて高く設定されています。
写真素材を多く使う世界中のクリエイターが顧客にいる
Adobe Stockは世界中のクリエイター・デザイナーなどを顧客に持っている強味があります。
というのはAdobe Stockを運営しているAdobe社は、写真・動画・イラストなどのソフトウェアやサービスをクリエイター向けに提供している会社だからです。
みなさんもPhotoshopやIllustrator、Premiere Proという名前はご存知ではないでしょうか。
写真・映像・デザインの世界で最も売れているソフトウェアの一つです。
これらのソフトウェアにはAdobe Stockとの連携機能が搭載されており、作業画面から直接Adobe stockの素材検索ができるようになっています(写真はPhotoshopの画面からAdobe stockの写真を検索したときの様子)。
すなわちクリエイターやデザイナーは、Adobe stockを使うことで効率的に画像検索が行え、作業時間を短縮できるわけです。
Adobe Stockには「世界中のクリエイターが顧客にいる」といわれる理由です。
ストックフォトを始めた当初から収入を得やすい
ストックフォトを始めた当初、Adobe Stockは他社よりコンスタントに写真が売れました。
これは副業を始めたての初心者にとってとてもうれしいことで、ストックフォトを続けるモチベーションにもなりました。
Adobe Stockは写真を登録するとそのタイミングで売上が上がることが多くありました。
もしかしたらモチベーションを維持させる目的で、登録したての写真は閲覧されやすいアルゴリズムになっているのかもしれません。
いずれにせよ初心者の段階から売れやすいのは、Adobe Stockの副業に有利な点(メリット)の一つです。
基準を超えた販売数を達成するともらえる「特典」がある
Adobe Stockには年間のダウンロード実績数に応じてAdobe製品ソフトが1年間無料で使える、「ボーナスプログラム」という特典があります。
1年間のダウンロード回数(実績) | 無料で使えるdobe製品 |
150~4,999回 | Creative Cloud フォトプラン(20GB)、Illustrator、InDesign、Premiere Pro、または After Effectsのいずれか1つ |
5,000回以上 | Creative Cloud コンプリートプラン |
ストックフォトを始めて間もない人は使っていない人も多いかもしれませんが、高い品質の売れる素材を作るためにはこれらのAdobe製品は大きな武器になります。
ダウンロード数(販売実績)を増やせばAdobe製品が無料で使えるという特典は、ストックフォトを続けていくよいモチベーションにもなります。
Adobe Stock (アドビストック)の副業に不利な点
審査で不合格となったときに、その不合格理由が分かりづらい
Adobe Stockの審査で写真が却下(不合格)となるとその理由が添えられて戻ってきます。
「技術的な問題」「アーチファクトの問題」「露出の問題」「類似画像が提出済み」など理由が付きますが、その記載内容は決して親切とは言えません。
例えば「技術的問題」と指摘されても、「その写真のどこが技術的に問題なのか」が書かれていません。
つまり初心者には何が問題で却下(不合格)なのかさえ分からないのです。
詳しい説明はありませんが、却下(不合格)通知にはリンクが2つ記載されています。
1つ目を開くと「Stockコントリビューターラーニングサポート」のページが開きますが、そこには一般的なマニュアルがあるだけなので、個別の問題は特定できません。
2つ目のリンクからは「Adobe Support Community」が開き、「却下された写真をフォーラムに投稿すれば他の制作者からアドバイスを受けれられる」とあります。
しかし却下理由を知ることだけに毎回フォーラムに出さなければならないのでは、手間と時間がかかります。
結局何が問題だったのか分からないままあきらめることになり、失敗を次に活かすことができません。
問題を解決して次の改善に活かせないことは、Adobe Stockの副業に不利な点(デメリット)と言えます。
合格・却下(不合格)の線引きがよく分からないものがある
先に書いた「不合格理由が分かりづらい」とも関係しますが、同じ構図、同じ撮影方法、同じ編集方法をした写真でも、合格になる写真と却下(不合格)となる写真があります。
上の写真はその例ですが、全く同じやり方で作成したものでも合格(OK)と不合格(NG)にわかれました。
却下(不合格)理由はいずれも「技術的問題」とされていましたが、全く同じ技術で作成したものなのになぜ合否が分かれるのか理解できませんでした。
合否の線引きが分かりづらい点も、問題を解決して次の改善に活かせないことになります。
写真登録を効率的に行えないという意味でも、副業に不利な点(デメリット)と言えます。
以上の理由から、副業でストックフォトを始める40代50代にはPIXTAとAdobe Stockを軸に取り掛かることをおすすめします。
その他のストックフォトサイトの特徴は別記事で紹介します。自分にあったサイトをこの2社に+αして始めるのがよいでしょう。