こんにちは いもです。
前回の記事で「40代50代のストックフォト副業はPIXTA・Adobe Stockを軸にするのがおすすめと」書きました。
この記事では大手ストックフォトサイトであるiStockとShutterstockについて、副業で取組む際のメリット・デメリットを見ていきます。
それぞれの特徴を理解した上で、自分にあったストックフォトサイト選択の参考としてください。
副業目線で見た iStock(アイストック)
iStock(アイストック) の特徴
アメリカのGetty Imagesの子会社でカナダにあるストックフォトサービスで、写真・イラスト・動画・音楽などのデジタル素材を投稿・販売できます。
23万人以上のコントリビューター(クリエイター)が8,000万点以上の素材を提供しています。
世界規模(200以上の国)で使われているストックフォトサイトで、幅広いジャンルの画像が数多くそろっています。
iStock(アイストック) の副業に有利な点(メリット)
技術的な理由で審査不合格となる割合が低い
他社大手ストックフォトサイトと比べると、iStockは技術的な問題で審査不合格となるケースは多くありません。
これは人によって違うかもしれないので一概には言えませんが、技術力が高くない初心者にとってありがたいことです。
その代わりと言っては何ですが、iStockは法的側面(プロパティリリース、モデルリリース、著作権など)が他社よりかなり厳しく求められます。
法的側面については「副業に不利な点」のところで説明します
審査結果通知に不合格理由が具体的に書かれていて分かりやすい
iStockから届く審査不合格通知には、不合格となった理由が写真1枚1枚に具体的に書かれています。
また英語の指示にあわせて日本語でも書いてくれています。
どこを直せば再審査で合格できるのかが分かるため、初心者にとってありがたいことです。
日本人スタッフによるサポートがあり丁寧に対応してくれる
全世界にサービスを提供しているiStockは英語での情報は豊富ですが、日本のストックフォトサービスと比べると日本語での情報に不足するところがあります。
しかし分からないことがあった時に日本語で対応してくれる「お問合せフォーム」があり、その対応も丁寧で迅速です。
不明点をすぐに解消できるので副業には有利な点です。
売れた写真の詳細データが公表されるので分析できる
iStockのサイトでは売れた写真のロイヤリティ(報酬)に関する分析情報がビジュアルで分かりやすく確認できます。
上の写真は「取引タイプ」ですが、その他にも用途や販売国ごとのデータが円グラフや棒グラフになって載っています。
自分の写真はどの国でどういう目的で買われているかを分析にこれからの販売方針策定に役立てることができます。
日本だけでなく海外からの写真購入も多い
上で説明した分析情報の1つですが、自分の写真がどの国の人に買われたかが一目でわかります。
上のグラフでは日本が32%で海外が68%ですので、海外で良く買われていることが分かります。
グラフになる前の生データも見れますので、どの国でどんな写真が売れたのかも分かります。
データを分析して作品づくりにつなげることができます。
iStock(アイストック) の副業に不利な点(デメリット)
写真審査手続きが面倒くさい
①入力が必要な項目が多い
上で紹介したようにiStockはさまざまな良い点があるのですが、写真審査手続きが面倒くさいという大きなデメリットがあります。
その一つが入力項目の多さで、タイトル、説明、日付、撮影国、キーワード、写っている人数を入れていく必要があります。
「Deep Meta」というiStock独自の写真審査申請ソフトを使えば、写真申請はかなり効率的にできるようになります。
しかしDeep Metaは独自システムなので他ストックフォトサイトには使えません。
他サイトと平行して写真申請する場合、残念ながら大きな効率化にはなりません。
②タイトル・説明を英語で入力する必要がある
iStockの審査申請画面では写真のタイトルと説明を英語で付ける必要があるため一手間かかります。
しかし手間がかかることはデメリットとも言えますが、見方を変えればメリットともいえます。
・タイトルと説明を英語で付けるから外国の人にも売れやすくなる
・英語以外の言語にも適切な翻訳をして表示してくれる
・参入障壁が高くなるため日本人間の競争が他社より激しくない
最近は自動翻訳(Google翻訳など)の精度が向上しタイトルや説明を英語で付ける手間も減ってきました。Googleスプレッドシートに数式を入れておけば、日本語を自動で英語に翻訳してくれるので便利です
③キーワード(タグ)はiStockデータベースに登録してある単語からしか選べない
iStockのキーワード(タグ)付けは独特です。
iStock側が作った「キーワード(タグ)データベース」に登録されている単語以外は認められません。
少し分かりづらいので上の図を使って説明します。
クリエイターが付けたいキーワードを、iStockサイトに入力したとします。
するとデータベースに登録されていない単語が赤枠で表示されます(上図では「横位置」「ポーク」)
赤枠で表示された「ポーク」を選択すると、「ポーク」と関連した単語で、iStockデータベースに登録されているものが噴き出しで表示されます。
クリエイターはその単語の中から一番近い物(例えば「ローストポーク」)を選びます。
近い単語がなければ諦めて✖印を押して消去します。
この作業に意外と手間がかかり副業に不利な点(デメリット)となります。
④モデルリリース・プロパティリリースが強く求められる
iStock | Shutterstock | PIXTA | Adobe Stock | |
✖ モデルリリース | ○ | ○ | ○ | |
✖ モデルリリース | ✖ モデルリリース | ○ | ○ | |
✖ モデルリリース | ✖ モデルリリース | ○ | ○ | |
✖ モデル・プロパティ リリース | ○ | ○ | ○ | |
✖ プロパティリリース | ○ | ○ | ○ |
✖はリリースが必要なため不合格 ○はリリースを提出しなくても合格
先にも触れましたが、iStockは法的側面(プロパティリリース、モデルリリース、著作権など)が他社よりかなり厳しく求められます。
上の表を見て分かるとおり、他社ではリリース提出が求められない写真でもiStockでは求められるケースがよくあります。
後ろ姿や顔がはっきりと見えない人物写真でもモデルリリース提出が求められますし、どこの場所かが分からないような写真でもプロパティリリースが求められます。
また自分で作成したパソコン画面や書類にもプロパティリリースが必要となります。
のちのちトラブルにならないためにはリリースをとっておいた方が安心は安心ですが、iStockは他社では求められない厳しいレベルで必要となります。
手間がかかるという意味では副業に不利な点とも言えます。
いろいろと手間の多いiStockですが、良い方向に考えれば参入障壁が高いということでもあります。市場規模の大きい海外に写真を販売できるメリットを求めて、頑張って取組むのも一つの戦略です
副業目線で見た Shutterstock(シャッターストック)
Shutterstock(シャッターストック) の特徴
アメリカニューヨークに本社のある業界シェアNo1のストックフォトサービスで素材点数4億500万点を誇ります。
写真・イラスト・動画・ベクター画像・音楽などのデジタル素材を投稿・販売できます。
世界20か国語で素材を検索でき、世界中の人が顧客であるため売れやすいのですが、販売単価が他と比べると低く設定されています。
Shutterstock (シャッターストック) の副業に有利な点
顧客が全世界にいる
Shutterstockの顧客は全世界にいます。
国内と海外では好まれる写真のテイストが異なる場合があるため、国内サイトでは売れないような写真でも売れることがあります。
審査スピードが速い
審査に要する平均的時間 | |
PIXTA | 数日~2,3週間 |
Adobe Stock | 数日~1週間 |
iStock | 数日 |
Shutterstock | 数分~数日 |
Shutterstockの審査結果は他社と比べると比べ物にならないほど早く戻ってきます。
数分~数日と書きましたが、1日以内にはそのほとんどの審査結果が出そろいます。
却下(不合格)理由が比較的分かりやすい
後で説明しますがShutterstockは他社より技術的理由で却下(不合格)となるケースが多くあります。
しかし却下(不合格)となった場合もその理由がしっかりと書かれているため、どこを修正して再審査にかければよいかが分かります。
不明点をすぐに解消できるので副業には有利な点です。
Shutterstock (シャッターストック) の副業に不利な点
全てのメタデータ(タイトル・タグ等)を英語で入力する必要がある
全てのメタデータを英語で入力する必要があるため、英語が苦手な人には不利な点になります。
しかし裏を返せば、英語が苦ではない人によっては有利な点ともいえます。
iStockではキーワード(タグ)入力は日本語でできましたが、Shutterstockでは全て英語です。
しかしクリエイターが用意した英語のキーワード(タグ)をそのまま入力できるため、iStockよりも手間はかかりません。
報酬(ロイヤリティ)が低い
定額制プランとパックの名称 | 報酬(ロイヤリティ) | |
PIXTA | 定額制プラン | 定額 約27.5円/1枚 |
Adobe Stock (報酬率33%) | サブスクリプション クレジットパック | 変動 約37~370円/1枚 |
iStock (報酬率15%) | 定額制プラン クレジットパック | 変動 約3~202円/1枚 |
Shutterstock (報酬率15%) | 定額プラン オンデマンドパック | 変動 約11~165円/1枚 |
Shutterstockは報酬(ロイヤリティ)が低い点が最大の不利な点です。
2020年6月に報酬改定が行われた際にはクリエイターの間で多くの不満が上がったようです。
上の表に各社の定額制の報酬をまとめましたが、ShutterstockだけでなくiStockも低いですね。
サイトには「Shutterstockは売れやすい」と書いている人もいますので、売れる枚数で考えるのか1枚当たりの報酬で考えるのかによって判断が異なります。
クリエイターレベル(ランク)が毎年リセットされてしまう
画像のレベル | 今年(暦年)の画像ライセンス数 | 報酬額 |
レベル1 | 100以下 | 15% |
レベル2 | 101~250 | 20% |
レベル3 | 251~500 | 25% |
レベル4 | 501~2,500 | 30% |
レベル5 | 2,501~25,000 | 35% |
レベル6 | 25,000超 | 40% |
この仕組みもShutterstockの大きな不利な点ですが、報酬額(ロイヤリティ)の率を決めるクリエイターレベルが毎年1月1日にリセットされてしまいます。
つまり前年度に300枚の写真を売ってレベル3(報酬額25%)までランクアップしていた人も、1月1日時点でレベル1(報酬額15%)に戻ってしまうのです。
実績が積み上がっていかないこの仕組みは副業で取組む人だけでなく全てのクリエイターにとって不利な点(デメリット)です。
写真内に日本語文字が写っているときは翻訳が必要
Shutterstockでは写真内に日本語が写っている場合、その日本語の英訳を説明に載せなければ審査で不合格となります。
上の写真は杓子峠から見た富士山の写真ですが、この写真に書かれた日本語の翻訳が必要になります。
これは日本語が分からない顧客に対する情報提供で、写真を正確に理解して購入してもらうためには必要なプロセスなのでしょう。
手間がかかるという意味で副業には不利な点といえますが、顧客に対して誠実という意味では評価できる点でもあります。
技術的な理由で審査不合格(却下)になることが多い
Shutter stock | iStock | PIXTA | Adobe Stock | |
✖ | ○ | ○ | ○ | |
✖ | ○ | ○ | ✖ | |
✖ | ○ | ○ | ○ |
Shutterstockは他社と比べると技術的な理由で不合格(却下)となることが多くあります。
審査が厳しいということは、副業には不利な点とも言えます。
しかし先に書いた通り、Shutterstockは不合格(却下)となった理由を詳しく書いてくれます。
その指摘によって自分の技術のどこが足りなかったのかを把握することができます。
これは自分の技術力を上げるためにありがたいこととも言えます。
iStockとShutterstockは審査の手間がかかる、報酬が低いという点などからPIXTAやAdobe Stockよりは低い評価にしています。しかし幅広く海外の顧客にも売れる、参入障壁が高く日本人クリエイターが入りづらいという点ではどちらもメリットがあるストックフォトサイトと言えます。